王子様はマーメイドを恋の海に溺れさせて
嵐の前触れ
■
ーー嵐の夜だった。海の色した瞳が私に祈るように囁く。
「ねぇ、僕に抱かれるのは見返りなのかな?」
風がゴウゴウと吹き荒れて、胸騒ぎと共鳴する。シーツの上に打ち上げられた私は肯定も否定もせず、真っ直ぐ見つめ返した。
「……そうか、それでも僕は君を抱くよ。君がこんなに欲しいんだ」
乱暴にネクタイを払うと素肌が覗く。品行方正を地で行く彼にも本能がきちんと宿り、疼く。今だけ、今だけは何もかも脱ぎ捨ててしまいたい。
触れた唇から理性を溶かされ、熱を吹き込まれる。
「愛しているよ、奈美」
それが泡沫の戯言であるとあると知りつつ、私は身を捧げたのだった。
ーー嵐の夜だった。海の色した瞳が私に祈るように囁く。
「ねぇ、僕に抱かれるのは見返りなのかな?」
風がゴウゴウと吹き荒れて、胸騒ぎと共鳴する。シーツの上に打ち上げられた私は肯定も否定もせず、真っ直ぐ見つめ返した。
「……そうか、それでも僕は君を抱くよ。君がこんなに欲しいんだ」
乱暴にネクタイを払うと素肌が覗く。品行方正を地で行く彼にも本能がきちんと宿り、疼く。今だけ、今だけは何もかも脱ぎ捨ててしまいたい。
触れた唇から理性を溶かされ、熱を吹き込まれる。
「愛しているよ、奈美」
それが泡沫の戯言であるとあると知りつつ、私は身を捧げたのだった。
< 1 / 28 >