孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
第五章 私は道具
「おはよう、花音」

私の朝は海星さんのキスから始まる。

「……おはようございます」

「まだ眠そうだけど、そろそろ起きないと朝食摂る時間なくなるぞ」

起き上がったものの私が頭をぐらぐら揺らしていて、海星さんはおかしそうだ。
でも、ひとつ文句を言わせてもらいたい。
誰のせいでこんなに眠いと思っているの?
毎晩、私をあんなに責め立てておいて。

「……はい」

大きく伸びをしてどうにか目を覚まさせる。
そんな私に彼は眼鏡を渡してくれた。

顔を洗って身支度を済ませてしまう。
メイクは前より時間を費やして手をかけるようになった。
髪もひっつめひとつ結びをやめて、ゆるふわなお団子にしている。
黒縁眼鏡は相変わらずだけれど。
おかげで最近は。

『結婚してなんか、綺麗になったよね』

などと噂されている。

海星さんとの結婚は、彼のご両親へ挨拶に行った時点で一士本部長も知るのだしと、オープンにした。
周囲も一応は祝福してくれ、今のところ特に問題はない。

「じゃあ、今日も仕事、頑張って」

家を出る前に海星さんとキスを交わす。
彼はなにかと、私にキスしたがった。

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