孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
「ん?
間違ってたか?
一応銘柄は確認していったが……」

少し不安そうに海星さんが聞いてくる。

「間違ってはないですが……」

「なら、よかった」

嬉しそうに笑われ、なんか全部どうでもよくなった。

食事をする時間はあるというので、海星さんと一緒にお昼を食べる。
日持ちするものはいいが、賞味期限当日のものがいくつもあるし。

「具合はどうだ」

心配そうに眼鏡の下で彼の眉が寄る。

「多少、お腹が痛いくらいであとはすっかり」

「それはよかった」

海星さんはあきらかにほっとした顔をした。

「だから、接待断るとかしないで大丈夫ですよ」

出社はやめておこうと決めたが、午後からは家でできる仕事をするつもりだ。
海星さんも私が朝よりずっと調子がいいのはこうやって確認したんだし、そこまでしないでいいはず。

「もう断った」

さらりと言って海星さんはお弁当を食べている。
断ったのをさらにもう一度入れろというのもアレだし、まあいいか。

「食欲あるみたいだし、夜は食べたいもの買ってきてやる。
なにがいい?」

「そうですね……」

私の旦那様はとにかく私に甘い。
でも、これはきっと同情からだ。
それ以外に道具の私に優しくする理由なんて、ない。
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