孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
「途中でお昼食べてゆっくり行けばちょうど、チェックインの時間くらいに着くと思う。
途中、なにかあったら気兼ねなく言ってくれ」

「わかりました、ありがとうございます」

今日はプライベートだからか車はSUVだ。
滑るように車は進んでいく。
海星さんは運転がとても上手だ。
急ブレーキとか急ハンドルとかよほどのことがなければ、ない。
無理な割り込み運転とか当然、しないし。

「寒くないか」

「大丈夫です」

私の生理痛の原因が冷えだとわかってからは、いろいろ気遣ってくれる。
冷え性に効くらしいといろいろ入浴剤も揃えてくれた。
よく淹れてくれるホットミルクも最近、生姜が追加された。
美味しくて好きだと言ったら気をよくしたのか毎晩、寝る前に淹れてくれるようになって、お気に入りだ。

途中、美味しいピザを堪能させてもらい、宿に着いたのはチェックインが始まる時間くらいだった。

「ここ、ですか?」

「ああ」

鬱蒼と木が生い茂る敷地内を車は進んでいく。
五分ほど走ってようやく、建物が見えた。

「凄い建物ですね」

「だろ?」

それは重文指定されていてもおかしくないほど、古くて立派な和建築の旅館だった。
しかしそこで車は止まらず、まだ進んでいく。
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