孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
レジデンスに帰り着いた途端、見ていたかのタイミングで海星の携帯が鳴った。

「父からだ」

画面を見て彼は嫌そうな顔をしたあと、電話に出た。

「はい、海星です。
……はい……はい」

話している彼を、不安な気持ちで見つめる。

「わかりました。
じゃあ、土曜日に」

通話を終えた彼は当たりを真っ黒に染めそうなほど、憂鬱なため息をついた。

「話があるから実家に来いってさ」

本当に海星は嫌そうだが、そうなるだろう。

「なんですかね、話って」

「まあ、だいたい見当はつくけどな」

困ったように彼が小さく笑う。
……あ。
そうか。
海星が実家に呼び出されるなんて、あの話しかない。

そっと自分の下腹部を撫でる。
けれどまだ、私にはなんの兆候もなかった。
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