孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
最終章 決別と未来
土曜日、実家へ向かう海星は硬い顔をしていた。
私だってあそこになんて、彼を行かせたくない。
しかし呼び出されたからには、行かないとまたなにを言われるかわからない。

通された座敷には今日も、誰もいなかった。
おかれた座布団は六つ。
上座に四つ、下座に二つだ。
海星は迷わず下座に座った。

今日はさほど待たされず、社長夫婦と一士本部長夫婦が現れた。
しかも上機嫌だ。

「わざわざ来てもらって悪かったな」

どさっと横柄に社長が座る。
腰を下ろした他の面々も、気持ち悪いくらいニヤニヤと笑っていた。

「話というのはな。
ダイヤさんが身籠もったのが判明してな」

勝ち誇った顔で廊下側の一番端に座っている、派手な女性――一士本部長の奥さんが笑う。

「それはおめでとうございます」

頭を下げる海星にあわせて私も下げた。

……ああ。
私は海星を社長にしてあげられなかったんだ。

血の気が一気に引いていく。
そのせいか視界が暗い。

「約束どおり、一士に後を譲る」

「悪いな、海星」

悪いなんてちっとも思っていない顔で、にやりと醜く一士本部長が笑う。
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