それでも最強なあなたを愛し続ける

すれ違い

まほくんに連れられて部屋に帰ってきた。
改めて見ても真っ黒な部屋をみて、思わずふふっと笑ってしまった。
「ん?どうかしたのか?」
まほくんにそう聞かれて、正直に答える。
「いえ…まほくんらしい部屋だなって思って…」
「...そうか。」
そういって優しく笑ったまほくん。
「お茶とってくるから、部屋の中の好きなところで待ってろ」
「!はい!」
そういって部屋をでていったまほくん。
私は少し眠たくなったので
ベッドに寝転んだ。
まほくん…好きなところにいていいって言ってたけど、ベッドにいたら怒るかな?不衛生だー!って
考えてまたふふっと笑ってしまった。
それにしても…柑橘系の甘い香りがする。
なんだかこの匂い…すごく落ち着くな…
思わずまどろんできた時、まほさんが帰ってきた。
☆真帆side☆
明…ちゃんと待ってるだろうか…タバコを吸いながら考える。さすがにタバコを吸いに行ってくるというのは抵抗がある為、明には茶を飲むといっている。

そのまま喫煙所を後にし、部屋へ向かう。
すると、ベッドの上でとろ〜んとした目で上目遣いをして、ふにゃっと笑った明がいた。
…っ!
理性がぐらっといきそうだが、かろうじて耐える。
「待たせて悪かったな。」
そう言って明の頭に手を乗せる。すると明が俺の手を自分の鼻まで持っていって、またふにゃっと笑った。
「ベッドの匂い…落ち着くなって思ってたら、まほくんの匂いとおんなじだ〜」
少し寝ぼけているのか敬語が取れてる明。言った内容も内容なので、かろうじて耐えていた理性が保てなくなる。
とん、と明の肩を押すと、ぽすっとベッドに倒れる明。俺はその上に被さった。
☆明side☆
え、え…何が起きてるの?!
さっき、夢でまほくんが出てきたと思ったら、押し倒されていた。つ、つまり...さっきのは夢じゃなかったということ?!
「あ、えっと...まほくん?」
「わりぃけど...これは明が悪い。」
そういって噛みつくようにキスされた。
―――――――――え?
一瞬思考停止した。
まって、今、キス、した?
そう分かった瞬間にぽろぽろと零れ落ちてくる涙。
その涙を見て、まほくんがはっとしたような表情になった。
「わりぃ...頭冷やしてくる。」
気まずそうな顔をして去っていったまほくん。本来なら寂しくなるが、今はそれがありがたかった。人生でキスなんて一度もしたことなかったから、すっごく驚いた。キスは甘いなんていうけど…涙のせいでしょっぱかった。
それに…こわ、かった…まほくん、あんなに優しくしてくれてたのに、キスする時の顔は少し、余裕がなくて、普段のやさしさがなかった....
きっと私が嫌なのはきすじゃなくて...あんなふうなまほくんときすしたことだとおもう....これからしばらくどうしよう....わたしは、いえにはかえりたくないし....でも....でも....まほ君にとって私がいるのは迷惑かもしれない....
『お前はいるだけで迷惑なんだよ!』『ほんとに邪魔な女!いやになっちゃう~』
う....今まで言われてきた言葉の数々を思い出す。
―――――――そう、だよね。まほくんが優しかっただけで、普通に考えて邪魔だもん、私みたいなどんくさい女が部屋にいたら。帰ろう。それが一番だよね...。
幸い昼食の時に玄関に行ったので出口はわかる。玄関から外に出ると、そこには見たことのない景色が広がっていた。そういえば、ここにくるとき眠らさせられたんだった...。どうしよう。とりあえず歩こうかな...しばらく歩くと、市内でも有名なショッピングモールがあった。あ....ここからなら。家までの道、わかる...
そうしてついた家。
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