【リレーヒューマンドラマ】佐伯達男のおへんろさん

【女のしあわせは結婚して子どもをうみ育てることだと言うてるのに、なんで理解しないのだ…】

私の前職はサラリーマンだった。

大学を卒業した後、規模の小さい卸業者《おろしや》の事業所に就職した。

36年間、経理ひとすじで働いた。

当時、私たち家族は東京のJR中央線の阿佐ヶ谷駅から歩いて10分のところにある小さな借家で妻と長女と長男と4人で暮らしていた。

いつの日か本当の一戸建ての家を建てようと思いながらひたすら働きとおした。

話は、長女が短大卒業が決まった1月のある日のことだった。

長女は、短大を卒業した後は保育士さんになると決めた。

しかし、私たち夫婦は長女に結婚をしてほしいと強く望んでいた。

結婚して、かわいい孫を産んでほしい…

私たち夫婦は、孫の顔を見ることしか頭になかった。

だから、私たち夫婦は長女に対して保育士をやめろと強要した。

長女は、私たちの望み通りに短大を卒業した後家事手伝いになった。

その間に、長女の結婚をお世話できる人を探し続けた。

長女が短大を卒業してから10年後であった。

長女は、年収700万円の総合商社勤務の男性とお見合いして結婚した。

同時に、岡山県浅口市でトラック運転手のお仕事をしている長男もコンカツイベントで知り合った地元在住のОLさんと婚約した。

これで、老後を楽しむことができ…

…とノンキにかまえていた時だった。

私たち夫婦の周りで突発事件が発生した。

長女が、泣きながら実家に帰って来た。

私たち夫婦は、長女にどうしたのかと問いかけた。

長女は『ダンナに言葉の暴力を振るわれた…つらい。』と言うた。

私たち夫婦は、長女のダンナの実家へ直談判《じかだんぱん》に行った。

長女から聞いた話によると、長女のダンナは結婚した直後に、会社から取引先の反物《たんもの》の卸し問屋への出向を命ぜられた。

長女のダンナは、その翌日から無断欠勤した。

年収700万円が出向により大きく低下した…

『月給9万円の安月給だけでどうやって暮らして行くのだよ…』とダンナが言った。

これに対して、長女は『自分の仕事にほこりを持ちなさいよ!!頭のスイッチを切り替えなさいよ!!』と言うてダンナを攻撃した。

ダンナは、長女に対して『お前は苦労していないくせにえらそうな口をぬかしやがって!!』と怒鳴りつけたあと、長女に物を投げつけた。

それを聞いた私たちは、長女のダンナに対して『長女に謝れ!!』と言うて怒鳴りつけたあと完膚なきまで叩きのめした。

長女のダンナは、実家の家族に告げ口した。

それを聞いた長女のダンナの兄夫婦がものすごい血相で怒った。

ダンナの母親は、あつかましい口調で私たちに言うた。

「うちの○○ちゃん(長女のダンナ)を完膚なきまで叩きのめすなんて、どう言うことよ!!」

ダンナの母親は、ダンナに対してこう言うた。

「○○ちゃん、何の苦労をしてないくせにえらそうに言う嫁とはキレイに別れなさい…」

それを聞いた私たち夫婦はカチンと来た。

長女のダンナの実家はダメだ…

なんの苦労をしてないのは、あなた方でしょ…

こんなことになるのだったら…

娘にムコを迎えたほうが良かったわ…
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