【シナリオ】サヨナラを歌う
○鈴香のアパート・リビング(夜)
鈴香、ソファで体育座り。
スマホで【バンドマン 好きになる】と検索。
【やめた方がいい】という記事が多い。
鈴香、横にごろんと寝転んで日高とのトーク画面を開く。
〈鈴香:ごめんなさい。好きになっちゃいました〉と打ちこんで消す。
鈴香、枕に顔を押し付けて唸る。
○小林家・小林の部屋(夜)
小林、ベッドに仰向けになる。
小林「あぁー。俺カッコわる……」
目元を手の甲で隠しながら天井に向かって呟く。
スマホで鈴香とのトーク画面開く。
〈樹:さっきはごめん〉と打って消す。
小林、大きなため息をつく。
○居酒屋・店内(夜・日替わり)
小林の前に日高が座る。
日高「最近佐野来ないけど、なんか聞いてる?」
小林「あー……色々忙しいみたいです」
小林、訳ありな顔で答える。
日高「忙しい、ね……」
日高、何かを察した顔。
○鈴香のアパート・キッチン(夜)
鈴香、食器を洗う。
テーブルの上のスマホにメッセージ通知。
鈴香、メッセージを確認する。
〈大和:最近ライブ来ないけど、忙しい? あんま調子よくねーの?〉
鈴香、返信せずに画面を消す。
○同・洗面所(夜)
鈴香、髪の毛を乾かしながら日高に返信する。
〈鈴香:もう日高さんに会うのが辛いです〉
と、送り慌てて送信を取り消す。
○同・リビング(夜)
鈴香がベッドに座ってぼーっとしていると、チャイムが鳴る。
壁の時計を見るともうすぐ22時。
鈴香の顔がこわばる。
○同・玄関(夜)
鈴香、物音を立てないようにドアまで行って、穴を覗く。
驚いてすぐにドアを開ける。
鈴香「大和さん⁉ どうしたんですか⁉」
日高「さっきのアレ、なに?」
日高、息が上がってハァハァとしている。
日高、真っすぐに鈴香を見る。
鈴香「今飲み物か何か持ってきます」
鈴香、部屋の中に戻ろうとする。
日高、鈴香の手を掴んで引き止める。
日高「こっちが先!」
2人を押し込むようにドアが閉まる。
日高「あのメッセージ、取り消したやつ、見えてたから」
鈴香、気まずい顔をする。
日高「あんなメッセージを送り逃げはズルいぞ。普通に傷ついたし」
鈴香、観念して説明を始める。
鈴香「ビタレの音楽は大好きなのに、日高さんを見ると苦しいんです。胸がぎゅーって切なくなって」
日高「ごめん、俺なんかした? 正直身に覚えがないんだけど」
鈴香「してないです。私が勝手に……」
日高「勝手に……?」
鈴香「……好きになっちゃったんです」
5秒ほど間が空く。
日高、ため息をつきながらしゃがみ込む。
鈴香、焦って言い訳を始める。
鈴香「私なんか吊り合わないのは分かってます! でも日高さん見たら気持ちが溢れちゃうから、だからもうライブには行けないなって」
日高「あーーマジ焦ったー」
日高、しゃがんだまま顔を押さえる。
キリっと鈴香を見上げて、
日高「でもさ、俺たちのライブ来ないで、どうやって佐野の夢叶えんの?」
日高、諭すように聞く。
鈴香「それは……」
日高「俺に話してくれた佐野の夢って、その程度だった?」
鈴香「そんなことないです! ていうか、日高さんに私の気持ちは絶対分からないです!」
日高「分かるよ。俺も同じだから」
鈴香「え……?」
日高「佐野は俺のことが好き、俺は佐野のことが好き。なんも問題なくね?」
鈴香、フリーズする。
鈴香「あれ、もしかして私、今告白されました?」
日高「……かもな」
日高、くしゃりと笑う。
鈴香「日高さん、歌詞だと素直なのに、普段は本当に口下手ですよね」
日高、立ち上がって鈴香の上から覆い被さるように抱きしめる。
日高「悪かったなコミュ障で。もうライブ来ないとか言うなよ?」
鈴香「はい。言いません!」
鈴香、日高の背中に手を回し、しばらく抱き合う。
日高「そういえば、樹と喧嘩でもした?」
鈴香「喧嘩というか……」
日高、考え込む。
日高「あのさ。俺らのこと、俺から樹に話していい?」
鈴香「は、はい。大丈夫ですけど……」
鈴香、不思議そうな顔をする。
鈴香、ソファで体育座り。
スマホで【バンドマン 好きになる】と検索。
【やめた方がいい】という記事が多い。
鈴香、横にごろんと寝転んで日高とのトーク画面を開く。
〈鈴香:ごめんなさい。好きになっちゃいました〉と打ちこんで消す。
鈴香、枕に顔を押し付けて唸る。
○小林家・小林の部屋(夜)
小林、ベッドに仰向けになる。
小林「あぁー。俺カッコわる……」
目元を手の甲で隠しながら天井に向かって呟く。
スマホで鈴香とのトーク画面開く。
〈樹:さっきはごめん〉と打って消す。
小林、大きなため息をつく。
○居酒屋・店内(夜・日替わり)
小林の前に日高が座る。
日高「最近佐野来ないけど、なんか聞いてる?」
小林「あー……色々忙しいみたいです」
小林、訳ありな顔で答える。
日高「忙しい、ね……」
日高、何かを察した顔。
○鈴香のアパート・キッチン(夜)
鈴香、食器を洗う。
テーブルの上のスマホにメッセージ通知。
鈴香、メッセージを確認する。
〈大和:最近ライブ来ないけど、忙しい? あんま調子よくねーの?〉
鈴香、返信せずに画面を消す。
○同・洗面所(夜)
鈴香、髪の毛を乾かしながら日高に返信する。
〈鈴香:もう日高さんに会うのが辛いです〉
と、送り慌てて送信を取り消す。
○同・リビング(夜)
鈴香がベッドに座ってぼーっとしていると、チャイムが鳴る。
壁の時計を見るともうすぐ22時。
鈴香の顔がこわばる。
○同・玄関(夜)
鈴香、物音を立てないようにドアまで行って、穴を覗く。
驚いてすぐにドアを開ける。
鈴香「大和さん⁉ どうしたんですか⁉」
日高「さっきのアレ、なに?」
日高、息が上がってハァハァとしている。
日高、真っすぐに鈴香を見る。
鈴香「今飲み物か何か持ってきます」
鈴香、部屋の中に戻ろうとする。
日高、鈴香の手を掴んで引き止める。
日高「こっちが先!」
2人を押し込むようにドアが閉まる。
日高「あのメッセージ、取り消したやつ、見えてたから」
鈴香、気まずい顔をする。
日高「あんなメッセージを送り逃げはズルいぞ。普通に傷ついたし」
鈴香、観念して説明を始める。
鈴香「ビタレの音楽は大好きなのに、日高さんを見ると苦しいんです。胸がぎゅーって切なくなって」
日高「ごめん、俺なんかした? 正直身に覚えがないんだけど」
鈴香「してないです。私が勝手に……」
日高「勝手に……?」
鈴香「……好きになっちゃったんです」
5秒ほど間が空く。
日高、ため息をつきながらしゃがみ込む。
鈴香、焦って言い訳を始める。
鈴香「私なんか吊り合わないのは分かってます! でも日高さん見たら気持ちが溢れちゃうから、だからもうライブには行けないなって」
日高「あーーマジ焦ったー」
日高、しゃがんだまま顔を押さえる。
キリっと鈴香を見上げて、
日高「でもさ、俺たちのライブ来ないで、どうやって佐野の夢叶えんの?」
日高、諭すように聞く。
鈴香「それは……」
日高「俺に話してくれた佐野の夢って、その程度だった?」
鈴香「そんなことないです! ていうか、日高さんに私の気持ちは絶対分からないです!」
日高「分かるよ。俺も同じだから」
鈴香「え……?」
日高「佐野は俺のことが好き、俺は佐野のことが好き。なんも問題なくね?」
鈴香、フリーズする。
鈴香「あれ、もしかして私、今告白されました?」
日高「……かもな」
日高、くしゃりと笑う。
鈴香「日高さん、歌詞だと素直なのに、普段は本当に口下手ですよね」
日高、立ち上がって鈴香の上から覆い被さるように抱きしめる。
日高「悪かったなコミュ障で。もうライブ来ないとか言うなよ?」
鈴香「はい。言いません!」
鈴香、日高の背中に手を回し、しばらく抱き合う。
日高「そういえば、樹と喧嘩でもした?」
鈴香「喧嘩というか……」
日高、考え込む。
日高「あのさ。俺らのこと、俺から樹に話していい?」
鈴香「は、はい。大丈夫ですけど……」
鈴香、不思議そうな顔をする。