もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 
 席につくと「早速ですが」と紀田さんはホッチキス止めされているA4サイズの企画書をわたしの前に置いた。
 表紙に大きな文字で『シンデレラ・プロジェクト』と記されている。

「シンデレラ・プロジェクト?」

「はい。〈リインカネーション〉開業一周年記念とのタイアップ企画でして、香坂さんとスタッフの皆さんの手腕で、女性はどこまで美しく変身できるのか、その過程を、2カ月連続で掲載する特集企画です。あの、社での打ち合わせ用にお写真撮らせてもらってもいいですか?」

「はあ」
 まだ事態が呑み込めていなかったのに、わたしは曖昧に返事をかえしてしまった。
 紀田さんは了承を得たと解釈されたようで、スマホを構えて、2、3枚立て続けにシャッターを押した。

 でも、なんでわたしの写真なんか必要があるんだろう。

「この企画をご提案させていただいたとき、香坂さんが『ぜひ、モデルに推薦したい子がいる。その子がモデルならやらせてもらうけど』とおっしゃられまして」

 玲伊さんがわたしのほうに視線を送ってきた。

「そ。話を聞いたとたん、目の前に優ちゃんの顔が浮かんできてね」

 モデル? わたしが?
 一瞬、頭が真っ白になったけれど、すぐにかぶりを振った。
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