もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 でも、それは、はじめだけのことだった。
 数カ月経つと、すっかり打ち解けて「玲伊おにいちゃん」とちょっと舌足らずな口調で話しかけてくれるようになった。

 浩太郎はいつも優紀を邪魔もの扱いしていたけど、俺は彼女に絵本を読んであげたり、宿題を教えてあげたりしていた。

 俺を見つけると懸命な顔で駆け寄ってくる優紀は、とにかく、けなげで(いと)おしかった。
 末っ子だった俺は、妹ができたみたいで嬉しかった。

 そんなある日。
 二階の藍子さんの部屋で遊んでいたときのこと。
 そのとき、なぜか浩太郎はそばにいなかった。
 藍子さんに手伝いを頼まれていたのかもしれない。

 ふと、優紀の長い髪が陽の光を浴びてきらめいているのが目に入ってきて、無性にその髪に触りたくなった。

 でもただ「触らせて」と言ったら、さすがに引かれるだろうと思い「髪、結んであげるよ」と言った。
 優紀はちょっと驚いた顔をしていたけれど、素直に鏡台の前に座った。
 まったく、子供ながらに良い口実を思いついたものだ。
 
 まったく癖のない、本当に綺麗な髪だった。
 細くてまっすぐで。
 

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