もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
玲伊サイド:彼女を変身させたい理由
 優紀と出会ったのは、もう20年以上前のことだ。

 小学生のとき、俺は大企業家の子供にしては珍しく、私立のエスカレーター校ではなく、地元の公立に通った。
 親が子供のうちから特権意識を植えつけたくない、と考えていたんだろう。
 三人の兄も、みな同じ小学校出身だ。

 そして小学5年のとき、同じクラスになった優紀の兄、加藤浩太郎と仲良くなった。
 席替えで隣の席になり、同じ漫画が好きなことがわかって、あっという間に打ち解けた。

「うちのおじいちゃん、本屋なんだよ。遊びにくる?」
 ある日、浩太郎に誘われてはじめて行った高木書店はまさに天国だった。

 なにしろ、漫画が読み放題。
 無口なおじいさんはちょっと怖かったけど、おばあさんの藍子さんは優しくてきれいな人で、玲伊ちゃん、玲伊ちゃんと言って、とても可愛がってくれた。

 そして、高木書店で遊ぶときはいつも、優紀が一緒だった。

 俺が小5だったから、優紀は小1。
 とっても小さい、さらさらの長い髪が可愛い女の子だった。

 人見知りが激しいらしく、初めのころは俺とはあまり話もせず、いつも浩太郎の陰に隠れていた。

 
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