もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 前にお会いしたときも思ったけれど、仕事ができる大人の女性の見本のような人だ。 

 そして、もうひとりはわたしと同じくらいの年恰好で、前髪を眉の上で揃えた明るい茶髪のボブスタイルがよく似合っている女性だ。
 人懐っこい笑顔が印象的な人だった。

 彼女は名刺を差し出した。
「岩崎といいます。今後、わたしが加藤さんの連絡窓口になりますので、どうぞよろしくお願いします」
「あ、こちらこそ、よろしくお願いします」
 
 全員が席についたところで、玲伊さんが口火をきった。
「じゃあまず、彼女に資料を渡してくれる」
「はい」

 岩崎さんがA4サイズの茶封筒を差し出した。
 中身は横とじの書類とケース入りのIDカード。

 わたしが書類をめくると、岩崎さんが話しはじめた。

「企画の概要と現段階でわかっているスケジュールと各施設の連絡先などが記してあります。紀田さんからはできれば来週の月曜日から始めたいと聞いていますが」

 そう問いかけられたのでわたしは「はい、いつでも大丈夫です」と答えた。

 
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