【書籍&コミカライズ】魅了持ちの姉に奪われる人生はもう終わりにします〜毒家族に虐げられた心読み令嬢が幸せになるまで~
「はぐれたら大変だから、しっかり掴まってね」


 手をつなぎつつ、ヴァーリックが微笑みかけてくる。すると、冷えた指先がじわりと温まっていき、オティリエは思わず目を細めた。


 広場にはたくさんの出店が集まっていた。聖女を模したオーナメントや雑貨、アクセサリーを売る店もあれば、ソーセージやチキンなどを売っている店も多い。愛らしい雑貨類や肉を焼く香ばしい香りに、オティリエの気分が一気に弾む。


「ここ、僕のおすすめなんだ。子供の頃、両親に連れてきてもらってから、毎年来ていたんだよ。あまりにも好きだから聖誕祭数日前からお忍びで何度も通っていたぐらいで、オティリエも連れてきたいなって思ってた」


 ヴァーリックがそう言って立ち止まったのは、ホットワインやココアを売っているお店だった。ヴァーリックが店員に声をかけ、二人分のココアを注文する。すると、マグカップに注がれた熱々のココアが差し出された。


「可愛い……!」


 カップには雪だるまやモミの木のイラストが焼き付けられており、見ているだけで幸せな気分が味わえる。オティリエは瞳を輝かせた。


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