このままずっと甘い夜を 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
第二夜 熱い想いをこの夜に
名取くんは、パーティー会場と同じホテルの一室にわたしを連れてきた。


「僕はパーティーに戻ります。ここで休んでいただいて構いませんので。それでは」

「…でしたら、このジャケットを――」

「予備のスーツに着替えますから、そのままで結構です」


名取くんは、部屋に入ってから一度もわたしと目を合わせることなく、背中を向けていってしまった。


もしかして、わたしのことに気づいていない…?

だから、どこか他人行儀でよそよそしかったのだろうか。


いや…。

そもそも、わたしのことなんて覚えていないことだろう。


――もう7年も前に別れた恋人のことなんて。


それに万が一覚えていたとしても、わたしがあのような場にいるなんて夢にも思っていないだろうし。


わたしだけが意識してどぎまぎしてしまったけど、名取くんにとってわたしは、会場内で見かけたただの招待客の1人にすぎない。
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