リングノート〜必ず君を甲子園に連れて行く〜
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「捻挫ですね。全治3ヶ月です。」

医者がそう言った。

俺はわかっていた。

この足を完全に治すには、

県大会はおろか、

甲子園にも間に合わないだろうと。

でも俺は諦めきれなかった。


「先生、ただの捻挫なら別に3ヶ月待たなくても野球できますよね?!」

「痛み止めを飲んで、痛みを我慢しながらやれば、不可能ではないでしょうが、もっと悪化して後遺症が残ったり、今後の人生、野球が思うように出来なくなる可能性もあるでしょう。」

「そんなことはわかってる!!でも俺は今年こそ、どうしても先輩達を甲子園に連れて行かなきゃ行けないんだ!!」

そう叫ぶ俺を隣ですずが止めて、

先生に謝っていた。


帰り道、俺は悔しくて仕方がなかった。

「監督に怪我のことがバレなかったら、俺は試合に出られただろうに。くそっ、、、」

そういうと、すずが言った。

「工藤監督に翔が怪我してることを言ったのは私。2週間前の千本ノックの時、足挫いたでしょ?その時から全く良くなってないどころか悪化してる様に見えたから、私が監督に言った。本当にごめん。」

は?

すずが言ったのか?!

よりによってすずが言ったのか?!

「嘘、だろ?俺たち友達だよな?なんでいちいち言ったんだよ!お前が言わなかったら俺は、、、」

そういう俺を遮る様にすずは言う。

「友達だから言ったんだよっっ。私もどうしようか迷った。悩んだよ、、、。翔がいなければ、うちの学校は甲子園に行けない可能性が高い。でももし翔がここで無理をしたら、今後の翔の野球人生に支障が出るかもしれない。そんなの私耐えられない!!だから工藤監督に伝えたの!!」

「お前だって甲子園いきたかったんじゃねーのかよ!!」

「行きたいよ!!でもそれ以上に翔が野球出来なくなるのは嫌だよ!それにまだわからないよ、まだ甲子園いけるかもしれない!仲間を信じようよ。だから翔は早く足を治して、、、」

そう言うすずの言葉を遮るように俺は言う。

「余計なお世話なんだよっ!誰が俺の野球人生心配しろって頼んだんだよっっ」

俺はそう言い捨てて、1人で寮に帰った。

すずは俺を追いかけてくることはなく、

ただ涙をグッと堪えてその場に立ちすくんでいた。
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