離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
私もこれから出勤なので、他のものを作る余裕はない。

「もしよかったらどうですか」

スエット姿の先生は、ぽつぽつとひげが生えてきていて、髪にも寝癖がついていた。

シルクのパジャマにナイトキャップでもつけて寝ているのではと思っていたので、私は笑ってしまった。

お医者さんも普通のお兄さんだ。

「俺、朝食べない派なんだ」

ノリノリでご飯をよそおうとしたら、寝ぼけたような顔でそんなことを言われて硬直した。

「誰かが用意してくれるってうれしいもんだな」

のそのそとテーブルにつく笠原先生。

ん? これって、食べるってこと……だよね。

「先生、起きてください。食べるなら、自分の食器は自分で用意するんですよ。せめてお箸くらい」

共働きなのに、上げ膳据え膳なんでもやってもらえると思うなよ。

こういうのは最初が肝心。

幸い、最初から好きで結婚したわけじゃないから、嫌われることに怯えることもない。

「ああ! そりゃそうだ」

先生は初めて起きたような顔で、腰を上げた。

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