離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
夜勤の定時は午前九時。

昨夜の記録やらなんやらで、結局帰るのは十時くらいになってしまった。

「お先に~」
「おう、気をつけてな」

まだ仕事が残っている千葉くんは力なく手を振った。

「今日笠原先生休みだっけ」

どこかからそんな声が聞こえてくる。

噂のことを聞きたそうな人たちもいたけど、私が夜勤で疲れきっているのを見たら、遠慮してくれたみたい。

病棟を出るとき、「お疲れ様でしたー」と口々に声をかけてくれた。ありがたい。

お酒をたくさん飲んだときみたいに、頭が重く、ボーっとしている。

更衣室にあるシャワーを浴び、すっぴんで病院を出る。

圭吾さんは今日お休みで、家にいる。

こんな顔で帰るの嫌だけど、しかたない。

のろのろと院内のコンビニに寄り、ゼリー飲料を買って病院を出た。

「朝マッテでもしちゃおうかな……」

お腹が空いた。無性にハンバーガーとハッシュポテトが食べたい。

自動車通勤なら帰り道に自由にどこでも寄れるけど、残念ながら電車通勤の私に、すっと寄れるファストフード店は思い当たらなかった。

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