離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「かわいい」

囁いた彼が、私の唇をついばむ。

ダメだって。恋愛未経験の私にはキャパオーバーだって。

ショートした電化製品のように、思考停止してしまった私の隣で、圭吾さんが起き上がった。

「七海は今日休みだよな」

夜勤明けの次の日は休みのことが多い。

「へい」

テンパりすぎていて、おかしな返事になってしまった。

「ゆっくり休んでいろ。初めてだったのに頑張って、疲れただろ」

が、が、頑張った……?

昨夜のことを詳しく思い出すとますますショートしそうなので、強引に記憶をシャットダウンする。

私は無言で、布団の中にもぐりこんだ。

「はは。行ってきます」

布団越しに私の背中をぽんぽん叩き、彼は部屋から出ていった。

ああ、やっちゃった……やっちゃたよう……。

今までの私なら、付き合ってもない人と寝るなんてこと、絶対するまいと思っていたのに。

雰囲気に流されて男女の関係になっちゃったけど、告白されたわけじゃない。

離婚前提の契約結婚なのに、こんなのいいんだろうか。

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