離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「そうだ、また兄のところにも行きたいな」

お兄さんは、私たちが契約結婚していたことを知っている。

そして圭吾さんのことを心配していたので、事態が片付いたことを知らせないと。きっと喜んでくれるはずだ。

「いいですね」

京香さんともゆっくり話したいし、かわいい甥っ子ちゃんにも会いたい。

圭吾さんは柔らかく微笑む。

こんなふうに穏やかに未来のことを話せることを、尊く思った。


日勤の午前中の仕事がひと段落したところで、主任さんに声をかけられた。

「槇さん、じゃなかった笠原さん。オペの見学しない?」

周りは徐々に私を新しい苗字で呼ぶのに慣れてきたみたいだけど、当の自分がまだ呼ばれ慣れない。

「オペの?」

「外科のオペってあんまり見たことないでしょ。ここの新人は順番に見学に行くんだけど、笠原さんもどうかなって」

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