離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「師長が、同期だから助けてやれってさ」
「えー心強い。ありがとね、千葉くん」

一日のスケジュールの組み方も、物の配置も、病棟ごとに違う。

看護師も多いから、一度見ただけでは顔と名前が一致しない。

覚えることが多すぎる……。

「まず朝のカンファレンスが終わったら、清拭に回る。それが終わったらミキシング、午前のラウンド」
「はい」
「今日の受け持ち割はこのバインダーに挟んで置いてあるから。今日は俺と一緒に動いてもらって、明日からひとりでやってもらうよ」
「はい」

千葉くんにいろいろ教えてもらっていると、ここの病棟の総括主任さんが近づいてきた。

「千葉くん、よかったら槇さんにIC同席してもらったら?」
「ICですか?」

ICはインフォームド・コンセントの略。

千葉くんが今日受け持っている患者さんで、昨日緊急入院した人がいる。

そのオペに関する具体的な説明を、家族にするらしい。

「うん。千葉くんは病棟で他の患者さんの仕事がたんまりあるから、槇さんに頼んだらどうかと思って」
「まあ、記録するだけですしね」

千葉くんはうなずく。

どの病棟も人手不足なので、新人でもない人に誰かがつきっきりで教える余裕はない。

それでなくても分業できるところはなるべく手分けしないと、仕事が終わらない。

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