離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「森さん、森さん」

お連れさんが泣きそうな顔で声をかける。

倒れた男の人は森さんという名前らしい。

笠原先生が森さんに話しかけたり脈を確認しているうちに、研修医が森さんのバッグを探った。

「先生、手帳が」

バッグから出された手にあったのは、お薬手帳だった。

笠原先生はさっとその中身を確認し、研修医に「ニトロは」と聞く。研修医は首を横に振った。

「薬らしきものは見つかりません」
「だよな。あったら飲んでるか」

ニトロとは、狭心症の人が飲む、心臓の血管を拡張するための薬。

胸の痛みを感じたときに使用するもので、狭心症の人はお守り代わりに持ち歩いていることが多い。

「森さん、聞こえますか」

笠原先生が森さんに話しかける。肩を叩くが、反応はない。

私はその間に、周りを見回した。

奥の柱にAEDが見えたので、すぐに走っていってそれを抱えて先生のもとに戻る。

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