離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
かかっているソースも家で使うウスターソースとは全然違う。
大変
な話の最中だというのに、自然と笑顔が漏れてしまった。

「うまそうに食べるなあ。おごりがいがあるよ」
「本当においしいです、これ。あ、どうぞお話の続きを」

促すと、笠原先生はふっと微笑む。

今まで寄っていた眉間のシワが和らぎ、見ているこっちもホッとする。

「どこまで話したか。そう、兄は菜美恵にハッキリと『付き合っている人がいるから婚約はできない』と断ったんだ。兄は馬鹿正直だから、誠実に話をすればわかってくれると思ったんだよな」
「でもそうじゃなかったと」
「うん。菜美恵はちょっと普通じゃなかった。今思えば、ご両親のプレッシャーがすごくて、強迫観念に駆られていたのかな」

笠原先生の話は、まるで女性向けのウェブ漫画みたいだ。

平凡な自分の周りでは起こりえないその話を、私はハラハラして聞いていた。

修羅場のあとはドロドロの予感。

「断られた菜美恵はどうしたと思う?」
「潔く身を引いたわけじゃなさそうですね」
「その通り。まさかの、兄の恋人に嫌がらせや脅迫を始めた」
「ひいい。それは余計にお兄さんに嫌われるのでは」

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