筋肉フェチ聖女はゴリラ辺境伯と幸せを掴む
「えーっと、今日は誰を治療したんだっけ」

 軍に在籍する約200人全てを把握するのは容易ではない。訓練所の片隅に設置してもらった木製の安っぽい椅子に座り、全員分の詳細データを纏めた冊子を広げながら、今日治療したのが誰だったのかを記録していく。

「ローズ様、相談したい事があるのですが宜しいでしょうか?」

 話しかけてきたのは細身で小柄の魔術師だった。所謂この国基準のイケメンだ。私は快諾して隣の椅子に座るように勧め、話を聞く。

「実は私が所属している隊に様子の変な者が居て」

 ウィルドハート辺境伯軍は大将として辺境伯であるブレイズ様を置き、その下にいくつもの小部隊が連なる形をとっている。その小部隊は大抵バランスよく兵士や騎士、魔術師などを配置してあるのだが。彼の所属する部隊の兵士一人の様子がおかしいようだ。

「どのように変なの?」
「実は一週間前に心肺停止状態で見つかった者なのですが……」

 それなら私も記憶にある。屋敷近くの泉で心肺停止状態の兵士が発見され、あわや大惨事になる所だったという事件があった。私の蘇生が間に合った為事なきを得たが、混乱している様子だったのでしばらく休養してもらっているのだ。
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