女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
1、女王様の憂鬱
大広間の壇上で、次期当主として堂々と挨拶する一卵性の双子として生まれた、私の片割れ久世 理央。

父の後継者として相応しい弟は、人を見る目があり、判断力、行動力、上に立つ者としての風格を兼ね添えた男として育った。父によく似た背格好で、185センチの高身長に顔も父の若い頃を彷彿させる顔立ち。そして、人を惹きつける魅力を持つ男。弟に心酔し、自然と彼の元へ人が集まる、生まれながらのキング(王)。

欠点をといえば、いまだに、大人になりきれない子供ということだけで、四面楚歌のような世界で生きていかなければならない大人になった今も、嫌いな相手への態度や感情を隠せない。

だが、外面がいいので、家族以外、そのことに気がついていない。いや、私達の幼馴染の篠原 玲央だけは、そのことを知る人物だ。

そして、私と弟を比較しない数少ない人の一人。

一卵性の双子で、2時間ほど先に私が生まれた。弟がそっくりなのだから私も父にそっくりの顔。弟との違いは、父に似た顔のパーツがはっきりとした女性らしい顔と外見で、身長は私の方が10センチは低い。ここは、同じじゃなくてよかったと思う。だが、それでも、女性としては高い身長だ。妹の樹里は、母に似て、160センチもなく顔も可愛らしく、羨ましいと思っている。
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