彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】

彼のお仕置き

 彼は黙って私の前を歩いていき、振り向くとひとこと言った。

「帰るぞ。荷物を持って来い。下にいる」

「え?まだ、終業時間まで一時間くらいあるけど……」

 まだ四時くらいだ。終業時間ではない。

 ぴたりと足を止めた彼の背中に鼻からぶつかった。

「……痛っ」

「おい」

「……え?」

「すぐに帰ると言ったら帰る。お前のボスが帰ってきたんだ。俺に従え。あいつらには帰ると言わなくていい。ボスが戻ったのでついて行くと言えばいい」
< 68 / 101 >

この作品をシェア

pagetop