イルカの見る夢
斗李は意識不明になっている真凛を心配し、何度もお見舞いに来てくれた。
初めは心優しい青年だとしか思っていなかった真凛も、忙しい中合間を縫って会いに来てくれる斗李に心を許してゆき……いつしかふたりは恋仲になった。
真凛はとりあえず休職という形をとっていたが、ドルフィントレーナーとして現場に復帰するのは当分先だと医者に言われ、悩んだ末に退職を決めた。
事故が関係しているのか、真凛のイルカに対しての情熱が失われたことが、最な理由だった。
その時期か、その少し前だったか定かではないが、真凛は相棒であるルビーが息を引き取ったと館長づてに聞く。
きっと、心の底から愛していた飼い主を大変な目に合わせ、深い罪悪感を味わったからだろうと、館長は言っていた。
イルカは知能が高く、感受性がとても強い生き物だから、と……。
記憶を無くしすべて忘れてしまった懺悔とは言わないが、真凛は唯一持っていたルビーとの写真は大切にしようと決めた。
そんな思い出の写真をベッドサイドテーブルに戻し、読書灯を消す。
愛する夫に身を寄せ、たくましい腕に頬を擦りつける。
(目を覚ましてからずっと……斗李さんは私のそばにいてくれる。この手を、離しませんから……)
初めは心優しい青年だとしか思っていなかった真凛も、忙しい中合間を縫って会いに来てくれる斗李に心を許してゆき……いつしかふたりは恋仲になった。
真凛はとりあえず休職という形をとっていたが、ドルフィントレーナーとして現場に復帰するのは当分先だと医者に言われ、悩んだ末に退職を決めた。
事故が関係しているのか、真凛のイルカに対しての情熱が失われたことが、最な理由だった。
その時期か、その少し前だったか定かではないが、真凛は相棒であるルビーが息を引き取ったと館長づてに聞く。
きっと、心の底から愛していた飼い主を大変な目に合わせ、深い罪悪感を味わったからだろうと、館長は言っていた。
イルカは知能が高く、感受性がとても強い生き物だから、と……。
記憶を無くしすべて忘れてしまった懺悔とは言わないが、真凛は唯一持っていたルビーとの写真は大切にしようと決めた。
そんな思い出の写真をベッドサイドテーブルに戻し、読書灯を消す。
愛する夫に身を寄せ、たくましい腕に頬を擦りつける。
(目を覚ましてからずっと……斗李さんは私のそばにいてくれる。この手を、離しませんから……)