たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~

ブレスレットを見つめながら,ベッドに倒れる。



(もしかして,私の元気が無かったから?)



すり……と触れて,静かに考えた。

あれも,これもと1日を振り返ると,愛しさが増していく。

一言もダニーはそんなことを言わなかったけど,1度その優しさに気づいてしまうと離せない。

うとうとと,ふいに目蓋が落ちていった。

ダニーの事を考えながら,誰かの声が頭に響く。



『恨んでいるの,私のこと。だからもう,2度と逢えないの』



(エルさんの待ってる人って)



何か特別な事に気が付いた気がしたのに。

私はそのまま,ぐっすりと眠ってしまった。

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