たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「いらっしゃいませー」
と優しそうな声を聞きながら私も続くと,お洒落な内装が目につく。
(わあ……)
「エヴィーが好きそうなお店だな」
感動している横で,ダニーはそんなことを言った。
「うん!!!」
好みを言い当てられるのも,いつも私を見てくれている証拠だと思うとうれしい。
私がこのお店に目に留めたのは,綺麗に拭かれたショーウィンドウの向こう側に座っていたぬいぐるみのせい。
見たいものが沢山あるのを1度こらえ,外から見えた場所に向かう。
「手作りなのかな。可愛い」
顔に綺麗な縫い目がある小さなぬいぐるみ。
熊や猫,兎が一匹ずつ鎮座していた。
(私もこんなものが手作りできたらな)
教わる機会も相手もおらず,からっきしな私は少しだけ憧れる。