たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
『もう大抵は染み付いてきたわね。エヴィー,使い方を覚えたら,今度は魔力の保有量を増やしていきましょう』
『え,魔力って増えるの?!?』
『ええ,そうよ。魔力量測定の時に気付いたの。限界まで使えば,上限は増えるの。どこまでかは分からないけど,ゴムを引っ張るみたいなものね』
『測定ってエルさん,3歳……でもあれ,結構苦しくなかった?』
『もちろん,エヴィーの心配も分かるわ。全て使うと死んじゃうもの。でもやすやすと見殺しにするわけないでしょ? 私がいるわ。ちゃんとぎりぎりで止めてあげる。
限界をつつくために,私の魔力を人工補給してあげることは出来ないけど』
本来教えるつもりのないことまで教えた。
私の全てをあげようと,そう決めたから。
けれどほんとはそれだけじゃない。
少しでも長く,いられるように。
私はエヴィーを自分から手離さないと決めたけど,それでお互いに毒になる事実が変わる訳じゃない。
だから,ではないけれど,誰に言われるでもなく。
理由がなくなれば,離れる存在だと頭が理解していた。
エヴィーは賢い上に,記憶力もいい。
自分で考えるだけでなく,覚えたことは忘れない。
私は離れたくないと思いながら,前よりもずっと多くのことを理性がエヴィーへ伝承した。
日々,とても早いスピードで教えることがなくなっていく。
きっともう1年も立たない内に,全てが終わる。
1度は追い越した感情を,理性が引きずり下ろした。
もうとっくに,エヴィーとの師弟関係は折り返し地点。