空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~

暴露


向日葵の間──



親父と俺と龍綺の3人が待つ部屋に安里社長とアサトテーブルウェアの重役や秘書達がやってきた。

紅羽は…いないな、よかった。
この場ではさすがに聞かせられないからな。


「これは十和田さん、話とは何ですかな。…おや?…あぁ、賢太郎くんがいるということは、やはり結婚相手はうちの娘なんですな。ハッハッハ、そりゃあそうでしょうなぁ、あんなどこの出か分からん様な女じゃあ十和田さんだって困るでしょうし。まあ分かってましたがね、ハッハッハ」


「私からお話するのはその事ではありません。安里社長、皆さん、こちらへ」

機嫌良く饒舌に話す安里社長だが、親父は笑顔も見せずに用意した椅子へと促した。



皆が着席すると、親父は、俺や龍綺が調べた、アサトテーブルウェアの犯した数々を安里社長に突き付けた。


まずは粉飾決算をしていた事。
そして、TOKIWAの元副社長を利用し、TOKIWAの業績を故意に落としていた事。
更に、元副社長が辞めてからは堀田部長を取り込み、TOKIWAを潰し、乗っ取ろうと画策していた事も。


安里社長は全てバレているとは微塵も思っていなかったらしく、一つ一つ指摘される度に、ゴルフ焼けした血色の良い顔が、みるみる土気色に変わっていく。

重役達を見ると、安里社長同様に顔色を悪くする者と、驚いたり、安里社長に軽蔑の眼差しを向ける者とに別れ、それは俺も把握していた関係者を浮かび上がらせていた。

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