空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~

実は、TOKIWAの社長を務めていた、俺達の母親の兄でもある常磐 建治(ときわ けんじ)おじさんが退職したのは、辞めた元副社長がしてきた悪事を調べるためだった。

『社長職に就いていては自由に身動きが取れないから』と、親会社の社長である俺の親父に相談があり、話し合いを重ねた結果、俺と龍綺がTOKIWAの社長と副社長に就任し、それと同時に、TOKIWAとアサトの裏の関係を調べる事になったんだ。


…だから、事実上これで俺のTOKIWAでの仕事もほぼ終わった様なものだ。

まぁアサトの処分は親父に任せるとして、TOKIWAの今後についてはおじさんと龍綺と話し合っていかないとだが。



あ…そういえば那知は大丈夫かな。
キリからは連絡が来ていないが…

とジャケットのポケットを触るが、スマホがない。


あぁ、さっきの部屋で脱いだ時に、スマホと手帳を重ねてテーブルに置いたんだったか。


…手帳を置いてきた事に一抹の不安はあったが、もし那知に何かあればキリが飛んで来るか龍綺に連絡が入るはずだから…
それが無いということは、ひとまず何事もなかったんだろう。



「親父、後はもういいか?」

「…そうだな、今日はこれで終わろう。……安里社長、後日改めて連絡させてもらいますよ。では」

そう親父が言うと、安里社長は、ぐうぅ…と声とも音とも分からぬ声を発し、床に膝を付き項垂れた。


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