空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~

結婚式は、安定期に入った6月に都内で挙げたの。
人数はそれほど多くはなかったけど、家族や友人などの親しい人達に囲まれての、優しさに溢れた幸せなレストランウェディング。


…その頃の賢太郎さんは、TOKIWAの社長代理を終えて十和田ホールディングスに戻り、ちょうど役職が上がったタイミングでもあったから、招待客も多くなるだろうし、きっと有名ホテルでの大規模な披露宴になると覚悟してたの。

何より賢太郎さんは御曹司であり、既に十和田ホールディングスの次期社長と噂されていた人だから。


でも賢太郎さんは、私の体が心配だから大々的なものにはしたくないと言ってくれて、なんとお父様もその意見に賛成して下さったんだ。

「賢太郎は今はただの一社員でしかないのだから、会社や関係先に義理立てする必要はない。文句を言う輩には私から説明しておくから、那知さんの身体に負担をかけず、2人で納得のいくものにしなさい」


その言葉に賢太郎さんが驚いていると、お父様はこう続けたの。

「…この結婚で、賢太郎が那知さんの親御さんの息子になるのと同様、那知さんは私の娘になるのだからな。親として娘の体調を第一に考えるのは当たり前だろう?」

って、優しく笑ってくれて……私、嬉しくて思わず泣いちゃった。

そして賢太郎さんは、お父様がご自分の体裁より私をこんなにも気にかけて下さっていることがとっても嬉しそうだった。




──結婚式当日の賢太郎さんは、これ以上素敵な人なんて世界中どこにもいない!って断言できるほど極上の大人イケメンさんで、私は奥さんになって数か月も経つというのにずっとキュンキュンしっぱなしだったの。

当の賢太郎さんは、普段は濃色のスーツしか着ないから「シルバーのタキシードとか、違和感しかないな」って照れくさそうにしてたけどね。


私の衣裳は、お腹が目立ちにくいフワフワしたウェディングドレス。
最初に見た時に一目惚れした、オーガンジーとチュールがふんだんに使われている、とっても可愛らしいウェディングドレスなの。

私の年齢にしてはデザインが少し若いかな?って気もしたけど、ドレスの雰囲気に合わせて髪を可愛らしくアップにしたら、賢太郎さんに「可愛い!似合ってて堪らなく可愛い!」って人前だろうとどこでも抱き締められちゃって…もう嬉しくて幸せでドキドキとキュンキュンが止まらなくて大変だったんだから。うふふっ

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