ドロ痛α様に狙われて

 東条くんはなぜ、私の心の闇を知っているの?
 
 みんなにバレないように、優等生スマイルで隠し続けてきたのに。


「歌夜、行くぞ」

「どこに?」

「さあな」

「もうすぐ午後の授業が始まっちゃうけど……」

「授業なんてどうでもいい」


 それ、生徒会長が言っちゃダメなやつ。


「歌夜のクラス、午後いち世界史だよな?」

「そう……だけど……」

「他人の過去なんて覚えてる場合じゃないだろ?」


 覚えなきぇいけないから、高校に通っているわけで。


「東条くんは学年トップの成績が取れる記憶力があるから、授業を受けなくても困らないのかもしれないけれど。私は違うの。授業をさぼった分、赤点回避のために倍の努力をしなきゃいけなくなるの」

 
 優秀なアルファ様たちと違って、オメガの私の脳は出来が悪いんだから。
< 33 / 116 >

この作品をシェア

pagetop