ドロ痛α様に狙われて
東条くんはなぜ、私の心の闇を知っているの?
みんなにバレないように、優等生スマイルで隠し続けてきたのに。
「歌夜、行くぞ」
「どこに?」
「さあな」
「もうすぐ午後の授業が始まっちゃうけど……」
「授業なんてどうでもいい」
それ、生徒会長が言っちゃダメなやつ。
「歌夜のクラス、午後いち世界史だよな?」
「そう……だけど……」
「他人の過去なんて覚えてる場合じゃないだろ?」
覚えなきぇいけないから、高校に通っているわけで。
「東条くんは学年トップの成績が取れる記憶力があるから、授業を受けなくても困らないのかもしれないけれど。私は違うの。授業をさぼった分、赤点回避のために倍の努力をしなきゃいけなくなるの」
優秀なアルファ様たちと違って、オメガの私の脳は出来が悪いんだから。