ドロ痛α様に狙われて

「勉強くらい、中間テストの前に俺が教えてやる」

「……っ、結構です」


 騎士のように顔が整ったワイルド王子様が隣にいたら……

 記憶脳が停止。

 注意散漫。

 集中力が壊滅的。

 心臓が飛びはねて、勉強なんてなにも頭に入らなくなるだろうし。


「いますぐ歌夜が覚えなきゃいけないことは、他にあるって言ってるの」

「それって……」

「アルファとの恋の始め方、この俺がみっちり叩き込んでやる」


 ここここっ、恋の始め方?

 
 それって習うもの?

 しかも相手はアルファ限定って……


 いやいやいや、意味が分からない。

 待って待って東条くん、私の手を引っ張らないで。


「安心しろ。教え方はスパルタだが、あいだあいだに、とことん甘やかしてやるから」

 
 そんなこと言われて、安心できると思う?
 
 東条君はアルファなんだよ。

 私はオメガなんだよ。
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