ドロ痛α様に狙われて
立ち入り禁止なのに

 一生繋がれたままなのでは?

 心配になるほど強引な恋人繋ぎ。


「着いた」


 ニヤッと悪めいた笑顔を咲かせた東条くんは、私の手を解放してくれた。

 あっさりすぎて、「えっ、もういいの?」って聞きそうになっちゃったけど。

 とりあえず良かったぁ。

 自由になった自分の手を見つめ、私は安どのため息をひとつこぼす。


 でも……

 まだ早かったみたい。

 身の安全が確保できたと安心するには。


「周りに生徒も先生もいないな、よし」


 古びた建物の前に立ち、満足げに頷く東条くんは


「鍵が壊れているんだ。ここから中に入る」


 手に力を籠め、腰高の窓を強引に開けたと思ったらヒョイ。

 窓枠に片手をつき、ジャンプで室内に入り込んでしまいました。


 身軽だな。

 忍者みたい。

 パルクール経験者?

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