ドロ痛α様に狙われて

 「私は崇められるのが苦手なの。あっちゃんみたいに、普通の友達として接してくれる方がありがたいよ」


 ふてくされながら、机に片側のほっぺをくっつけたけど


 「凪子たちと話して、うちら3人でオメガ人魚姫を教室で独占しちゃおって決めたんだ。カヤをいじるのって楽しすぎだしだし」


 ニヒヒとこぼしながら、あっちゃんが私の膨らんだほっぺをツンツンしてきたんだもん。


 「私をいじるって……その言い方……」


 上半身を起こして、あっちゃんに鋭い視線を突き刺しちゃった。


 そんな私を見て、あっちゃんは楽しそう。


 「アハハ、ほっぺ膨らませすぎでしょ。もっとツンツンして欲しいのね」


 陽気に肩を揺らし、指を私のほっぺにうずめてくる。


 「カヤはいちいち可愛いんだから」

 「だから、可愛くないってば」

 「んで、何に悩んでるわけ?」

 「……えっと」

 「白状しなさいよ」

 「別に大したことじゃない」

 「うちら心友(しんゆう)でしょ」

 「……うん」

 「普通ベータ人間の私だって、大事な友達の窮地を救うヒーローになりたいんだからね」

 「ヒーロー?」

 「恥ずいことを言わすな。顔燃えるし」

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