追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる

 お兄様のことは好きだし、お兄様は危険を犯してまで私を守ってくれた。でも、私の心はジョーとともにある。
 こうやって、ジョーの近くにいて、その顔を見ているだけで幸せだと思う。私は、ジョーと一緒にいられて、すごくすごく幸せだ。

「アンちゃんも看病しっぱなしで疲れているでしょう。今日は早く帰ってゆっくり休んでね」

 ソフィアさんの心遣いは嬉しいが、私にはまだたくさん仕事が残っている。
 お兄様とともに戦ってくれたポーレット領の騎士たちの多くも、怪我を負っていた。私は薬師として、皆を元気にしたい。

「ありがとうございます。
 ですが、これから騎士団本部に行ってきます。
 騎士団の宿舎にいるポーレット領の騎士たちの様子も診てこないと!」

 私はソフィアさんに頭を下げ、騎士団本部に向かう。街を走る私を見て、人々が

「アンちゃん、お帰り!」

なんて嬉しい声をかけてくれた。
 ここが私の居場所なのだとしみじみ感じる。

「ただいま!これからも、よろしくお願いします!」

 私は元気に答えていた。
 
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