追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
 
 それなのに、私はジョーにまんまと言いくるめられてしまう。ジョーに逆らえなくなる。だって、ジョーは握っている私の手を、そっと大切そうに自分の頬に付けるから。

「会いたかった」

 そんなこと、甘くて切ない声で言わないで。この街に来てから、ジョーの糖度は確実に上がっている。しかも、どんどん甘くなっている!

 真っ赤な顔の私と、私の手を頬に当てて嬉しそうなジョー。駄目だと分かっているのに、私の気持ちは大きくなっていく。



 視線を感じてはっと我に返った。
 私の隣には、真っ赤な顔のソフィアさんがいて、真っ赤な顔の私と至って普通のジョーを見ている。ばばっとジョーの手を振り払う私の隣で、

「ソフィアさん」

全く取り乱すことなく、クールに話すジョー。そんなジョーを、ソフィアさんはまだ真っ赤な顔で見ている。

「アンを受け入れてくださって、ありがとう。
 これからも、アンをお願いします」

「こ、こちらこそ、よろしくお願いします」

 ソフィアさんはかろうじてそう告げた。ソフィアさんが固まっているため、ジョーを連れて早くこの場を去らなければと思った。
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