ハーフ☆ブラザー その瞳もこの唇も、僕よりまいさんの方がいやらしいのに?

9.まいさんの『夜這い』

「……男同士が抱き合ってるのって、客観的に見ると、気持ち悪いんですけど?」
不機嫌きわまりないといった声は、まいさんのものだった。
僕はあわてて身体を起こして、片手で涙をぬぐった。
「舞美! お前は、なんてひどいことを言うんだ! お前と違って繊細な大地くんは、お前と違う心の有りようがあってだな」
「あー、うるさいうるさいっ! 人が一年の疲れをサッパリ落としてスッキリした気分でいるのに、風呂からあがったら、むさ苦しい野郎同士の抱擁シーンを見せられるだなんてっ」
「これは……これには、深い事情があってだな……。
いいじゃないか! 父さんと大地くんは、すごい仲良しさんなんだから」
「うっわ、気っ色わっるーい。大地がいくらキレイ系男子だからって、そういうのやめてもらえますー?」
───僕を気遣って、まいさんとお父さんが、わざと茶化すような会話をしてくれているのが解った。
急に気恥ずかしくなって、ソファーから立ち上がる。
リビングの入り口にいるまいさんの脇を通り過ぎて、自分の部屋に向かった。
すれ違った時の、まいさんの怒ったような……それでいて、寂しげな眼差しを感じながら。

*****

部屋に戻って数分後、コン……コン、と、遠慮がちなノックが聞こえてきた。扉を開けなくても、まいさんだっていうのはすぐに分かった。
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