私の白王子と黒王子
「……せな、さま……ちょっと、手が痛いです」


今聞こえたのは幻聴?


目の前にはうっすら目を開けて優しく笑っている類。


これは夢?


「ははっ……『夢?』って顔してますね」


夢……じゃない! 類の目が覚めたんだ!


「るいぃ……」


私の目には一瞬で涙が溜まって視界が揺れる。


頬をポロポロ流れる私の涙をすくいながら類が言った。


「お側を離れてすみませんでした」


こんな状況でも、類は私のボディーガードでいようとしてくれるんだ。


それなら私もそれに応えなきゃと思う。 


「ほんと……お寝坊なボディーガードだね」


私は涙を拭いて、類の手を今度は優しく握った。


類が私のそばにいてくれているように、私もずっと類のそばにいるからね——。
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