俺が貴女を護ります~エリート海上自衛官の溺愛~
 この女の性格は昔から変わらない。
女は、結芽を産んでから夫に浮気されていたことが発覚し、離婚してからは数々の男と付き合っては別れ、を繰り返していた。

それを見かねた祖母が育児放棄から助けてくれたが、祖母は結芽が高校を卒業した1年後に病気で亡くなってしまった。

 結芽は高校を卒業してから医療事務として働いているが、自身の給料だけでは生きることはできず、仕方なくアパートで母とも呼びたくない女と2人きりの生活になんとか耐えている。

 このことを知るのは夏希しかおらず、簡単に相談できる内容でもないし、知ってもらおうともしていなかった。

「水族館かぁ。楽しみだな」

 スマートフォンに映る航平からのメッセージを何度も見てしまう。
 部屋にはデートに着ていく服やカバンが用意されている。約束の日は明後日に迫っており、それに向けて毎日仕事を頑張っていた。

 航平と出会ってから、少しだけ母との関係が気にならなくなった。
それは、夏希を含めた数少ない友人と、職場の同僚、そして母くらいしか人間関係がなかった結芽にとって、航平という存在は大きかったからだ。

「さ、明日も頑張ろう!」

 夜は大体この家には結芽だけである。そのおかげで、心はわずかではあるが救われる。
 航平とのデートを楽しみにしながら眠れることも、結芽にとっての救いの1つでもあった。
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