俺が貴女を護ります~エリート海上自衛官の溺愛~

4話 初デート

 土曜日。水族館デートの日である。ディナーは和風料理店を予約しているらしい。

「うん、いい感じ」

 初めてのデート。水族館と和風料理店のどちらに行っても浮かないような、ライトブルーのフリルカラーのブラウスで顔周りの華やかさを出しつつ、ネイビーのボトムスですっきりとした大人な印象に仕上がっている。

「よしっ!」

 気合いを入れるために、パシン、と頬を両手で軽く挟むように叩き、鏡に向かって微笑んでみる。
 カバンを持って出かけようと自室を出ると、母が居間で寝ていた。起こさないようにそっと歩いて家を出て、静かにドアを閉める。

 航平が車で家まで迎えに来てくれると話してくれたが、それはまずいと思い断っていた。実家暮らしであることは伝えたが、このアパートが実家だと知られるといろいろと予想されてしまう気がしたので、近くの運動公園の駐車場を集合場所にしていた。
 待ち合わせは13時半。14時過ぎくらいには水族館に到着する予定である。

 公園までは3分程度とかなり近いため、5分前に到着するように家を出たつもりであったが、公園の駐車場には既に航平のものと思われる綺麗で艶のある黒のSUV車が待機している。
 少し駆け寄っていくと、航平が運転席から出てきて、こちらに振り向く。

「おはよう」
「おはよう、ごめん待った?」
「大丈夫だ。結芽を待たせないように来たからな」

 航平はそう言うと結芽のバッグをさりげなく持ち、助手席のドアを開ける。まるでお嬢様のような慣れない扱いに結芽は照れながら助手席に座る。

「じゃあ、行こうか」
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