俺が貴女を護ります~エリート海上自衛官の溺愛~
 今回の婚活パーティーは男女共に15人の合計30人の規模で開催されている。
 プロフィール記入後は自己紹介のトークタイムがあり、15人全員と会話をする。
 その後フリータイムで気になる方と会話をする。

 そして、今回の仮面婚活パーティーはフリータイム後にダンスタイムもあり、そこでさらに接近することが可能だ。
 その後にマッチング希望を出し、見事マッチングすると一緒に帰れるように運営が誘導して送り出される。

「20番……今野さん、踊っていただけませんか?」
「は、はい」

 声をかけられた今野結芽は緊張混じりの返事をして、相手のリードに任せて踊る。
 結芽は今年29歳を迎えることや、周りの人間が少しずつ結婚をしたり出産したりとする年齢であったことから、結婚を意識していた。
 今日この婚活パーティーに参加したのは、結婚を前提とした良い出会いを求めて勇気を振り絞って独身仲間の夏希を誘い、一緒に参加してみたのだ。

 結芽はハーフアップにして、結っていない毛先を緩く巻いたヘアスタイルに、ブルーグレーのミモレ丈のふんわりとしたフレアシルエットのワンピースを着ていた。パンプスはシンプルに黒で締めた。

 メイクは仮面で隠れることはあっても、パーティー終盤で行われるマッチング後に顔合わせもあるため、ほんのりとアイシャドウのラメを輝かせながらもいつもより華やかな印象になるようにしていた。
 仮面を付ける時間が長いため、リップはティントを使って唇の存在感を引き出しつつ、艶も出してみた。

「今野さん、僕、気になっていたんですよね。踊っていただけて嬉しいです」
「いえいえそんな。えーっと──」
「牧野です。15番の」

 牧野は今パーティーの最年少である25歳で、なぜこんな若く甘いマスクの持ち主である彼が参加しているのだろうと不思議に思っていたため印象に残っていた。

(わんこ系年下くんって感じの。そしていろんな人からの視線が痛い……早く終わってほしい……)

 そんな相手にアプローチされるのは嬉しいことであったが、結芽の好みのタイプではなかった。
 若い頃に結婚を意識することなく彼氏にするならいいだろうが、結婚相手となると少々頼りなく感じた。
 それに、何か裏があるのではないかと勘ぐってしまうのだ。
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