俺が貴女を護ります~エリート海上自衛官の溺愛~
 そして、1ヶ月後に母に挨拶をするために結芽の家に行くことが案として固まり、あとは結芽が自分から母に話すだけである。
 航平は、自分も一緒についていようかと言ってくれたが、これは今までの自分が成長するために必要なことだと捉えたから、断った。
 己との闘いなのだ。

 結芽は深呼吸をして、ソファに寝転がりテレビを見ている母に声をかける。

「ちょっといい?」
「なに」

 母はテレビから視線を動かすことなく返事をする。

「私、結婚するつもりなんだ」
「へぇ。あの海自の?」
「うん」
「あんたはいいねぇ若いから。私はもうずっと独り身だっていうのに。ま、あんたのことだから可愛げもないしそのうち捨てられるかもね」
「私はそう思わない。とりあえず、10月の第3日曜日、挨拶に来るから。航平くん」
「はいはい」

 母は不機嫌そうに返事をして風呂場に向かってしまう。

「はぁっ……」

 その母の様子を見て、止まっていた呼吸が再開する。
 自分に自信を持てるようにはなったが、まだどうしても母という存在に恐れはあった。そんな中でもなんとか自分の意見を貫いて主張できるようになったのだから、十分に成長したと感じた。
 結芽は小さくガッツポーズをして、航平にそのことを伝えるメッセージを送信した。

 結芽が自室に戻ると、すぐにスマートフォンの通知音が鳴る。

「もう返信来た。早いなぁ」

 ちょうどスマートフォンを見ていたのだろうか。すぐに返事が来て嬉しくなってしまう。

《伝えられたようで良かった。お疲れ。
 それと、これはデートの誘いなのだが、今度の土日に俺の家に来ないか?》

「えっ、航平くんのおうち!?」

 結芽はすぐに返事をした。
 もちろん、『ありがとう! もちろん行きたい』と。
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