放課後の片想い

「「「さようなら」」」

やっと終わった終礼。


私はリュックを持って急いで教室を出る。



ふと隣の2組を見ると、もう終礼は終わっていたようでクラスにいるのは数人。

鈴原くんはいなかった。


私は本館を挟んだ逆側にある北館へ急いだ。

そんな私の後ろ姿を加藤くんが見ていたなんて、私は全く気づいていなかった。



4階まで上がってくると、聴こえてくるピアノの音。
大好きな音色。

走ってきたせいで乱れている息を整えながらゆっくりと音楽室へ足を進める。


「月の光」

今日はドビュッシーの月の光を弾いてくれている。

美しい音色。

情景が思い浮かぶ。



どうやったらこんな美しい音が出せるんだろう。


そんな事を考えていると演奏が終わった。



すると


ガラッ

音楽室の扉が開いた。