放課後の片想い
桜ちゃんたちと解散して、足立くんとの帰り道。
「次は日和と悠と加藤の入試だね」
「頑張ります」
そうだ。
年が明けると、共通テストと入試がやってくる。
気合いを入れなきゃ。
「すごいわがまま言ってもいい?」
「何ですか?」
気付けば私の家の前。
「クリスマスとか年末…10分とかでいいから会ってほしい」
顔を赤くしながら言う足立くん。
「入試控えてるのにこんな事言ってほんとにごめん!」
「どうして謝るんですか?」
私はやっぱりこの人が大切だ。
「私も会いたいと思ってました。10分なんかじゃ足りません」
陽が欠けてきた頃。
外の空気も一段と寒くなる。
「好きだよ、日和。誰よりも」
足立くんの顔が近づく。
「イチャついてる所悪いんやけどさ」
えっ!!
私は咄嗟に足立くんからパッと離れてしまった。
どうして
どうして、この声が…!!
「悠…」
鈴原くんがやってきた。
「邪魔してごめんな」
心臓がバクバク鳴っている。
あれ、なんでだろう
手と足も少し震えてる。
足立くんとキスしようとしてた所を見られたから…?
「何の用だよ?」
「彗、冷たいなぁ。さっきぶりやで?」
私は何も言葉が出ない。
「日和に話があったんやけど、彗も一緒ならちょうどよかったわ」
「話?」
話……なんだろう。。
「俺、入試無事受かったら日本帰ってくるつもりないから」
「…は?」
えっ………
「それだけ言いたかってん。じゃあな」
「ちょっと待てって!!」
足立くんが鈴原くんの腕を引っ張る。
「なんだよそれ!!」
「向こうで頑張るつもりやから。まぁ、親に会いに来たりでたまには帰ってくるやろうけど、生活拠点は向こうにするつもり」
それは
「もう…会えないって…こと……?」
不思議と言葉に出た。
掠れるようなそんな声だけど、言うことが出来た。
鈴原くんは足立くんの手を解いて、私の近くにやってきた。
「うん、そうやで。やから、あと少し卒業まで仲良くしてね」
あぁ、また優しい笑顔をする。
だけど、言葉は全然優しくなかった。
“仲良く”って…
「そんな…言い方……」
「なに?」
私はぎゅっと拳を握った。
「そんな言い方、ひどくない!?そんな簡単に…卒業で切れちゃうような関係なの!?」
そう、それは私ともだけど
なにより足立くんと。
そんな簡単な関係じゃないよね!?
「日和が何言いたいんか全然わからへん」
「どうして…!!」
「俺にどうしてほしいの?」
ドクンッーーー
私…
「今、彗の事は関係ない。日和の気持ちを聞いてんねん」
私の考えとかお見通しなんだ。
そして、私はこの期に及んでまたキレイゴトを言っているんだ。
もう…だめだ……
ボロッー…
「わ…私は……」
涙が止まらない。
ねぇ、行かないで
もう会えないなんて絶対嫌だよ
お願い
「い…行かない……で…」
最低な事を言ってしまった。
鈴原くんの前で。
そして
足立くんの前で。
「ご…めんな…さい」
顔を上げる事が出来ず、私はそのまま家に入った。
鈴原くんの顔を見れない。
なにより…足立くんの顔を見る事が出来なかった。
玄関にしゃがみ込む。
「わぁーーー」
私は声を出して泣いた。
「日和!?」
私の泣き声を聞いて、驚いてリビングからやってきたお母さん。
「どうしたの!?何があったの!?」
大好きなで大切な人を傷つけた。
絶対に傷つけたくなかったのに。
だけど、私はこんな人間なんだ。
人のことを考えてるフリをしながら、自分の欲にまみれた人間。
最低なんだ。
どうしても
どうしても鈴原くんが、私の中から消えないんだ。