年下双子の溺愛トリック

「ハァ…。陽くん、今日もカッコいい…」

昼休み。
私は、お弁当を食べつつ、教室の窓からグラウンドを眺め、小さくため息をこぼす。

もうすぐクラスマッチが近いからか、外ではスポーツの練習をする生徒で賑わっていた。

サッカー、ソフトボール、バスケにバレー。

グラウンドも体育館も、昼休みや放課後は元気に練習する姿が目に入る。

正直、運動オンチな私にとっては憂うつな行事の1つなんだけど…。

私の名前は、小谷姫奈(ひな)。
高校1年生の15歳。

そして、私の視線の先で、元気にサッカーをしている彼の名前は、道枝陽(はる)くん。
私より2歳年上の高校3年生。

陽くんと、私はいわゆる幼なじみというやつで。

家が真向かいにあり、お母さん同士も仲良しで、小さい頃からずっと一緒。

そんな彼を好きだと気づいたのは、小学校低学年の頃だった。

小学校の帰り道、走って帰っていた私は、途中、道に落ちていた小石につまずき盛大にコケてしまったことがあり…。

『…っ。痛い……ヒック』

あまりの痛さにその場に座り込んでしまった私。

我慢できずに、涙で視界がぼやけてきた、その時。

『姫奈大丈夫か!?ほら、立って。まったく姫奈は、本当に手がかかるな』

そう言って、私に優しく微笑んでくれたのが幼なじみの陽くんで。

『陽くん…』

『姫奈のことは、俺が守ってやるから。もう泣くな』

ドキン。

そんなヒーローみたいな登場をした陽くんに、私はいつの間にか恋に落ちていたんだーー。
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