最低な元カレにフラれたらイケメン医師に成長した幼馴染からの溺愛がはじまりました。
父親のいない子供を身ごもってしまった罪悪感と恐怖がないまぜになって襲ってくる。

「どうしますか?」
その機会的な声にハッと息を飲んで医師を見た。

医師は相変わらず顔をこちらへ向けない。

だけどそれは妊娠後どうするか、杏奈自身が判断しかねているからだとわかった。

望んだ妊娠なのか、そうじゃないのかわからないから、真正面から顔を見られないのだと。

「少し、考えます」
せっかく宿した命。

だけど自分だけで育てていく自信はない。
両親にも会社にも相談する必要のあることだった。

「そうですか。それでは……」
ようやく医師が顔を向けたその瞬間だった。
< 17 / 86 >

この作品をシェア

pagetop