最低な元カレにフラれたらイケメン医師に成長した幼馴染からの溺愛がはじまりました。
今日は今までよりも随分とおとなしい格好をしていたから、全く気がつくこができなかった。

「杏奈、その子……」
目の前に立つ晃司が呆然とした声色で呟く。

杏奈は奈美を抱く手に力を込めた。
稔もすぐにやってきてくれた。

「またあんたか。できれば二度と会いたくないと思ってたんだけどな」
稔のするどい声も聞こえていない様子で、晃司は奈美のことをジッと見つめている。

それが怖くて杏奈は奈美を抱きしめたまま稔の後ろへと隠れた。
奈美は成長するにつれて晃司に似てきている。

それに気が付かれたかもしれないと、心臓がドクドク跳ねる。
「ごめん!」

途端に晃司がその場にヒザをつき、頭を下げてきたのだ。
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