どんな君でも愛してる
 
 彼も私を失って生きていけないと言っているような気がした。

 それなら前を向いて生きるしかない。彼となら乗り越えられる。

「私もあなたと結婚したい」

 彼は私を抱きしめて耳元で言った。

「ありがとう。やっと頷いてくれた。丸ごと俺に預けてくれ。今度こそ君を守る。俺は君さえいればなんでもできる」

「信也さん、あなたが好きなの」

「愛してる、凛花……お前の全てをくれ」

「はい」

 その夜、彼にすべてを預けた。事故以来だった。

 
< 280 / 302 >

この作品をシェア

pagetop